休止中に書き溜めてたネタ


北海道のほっけはカレー皿からはみ出す

 北海道は来るたびにその雄大な自然の産物を持ってくる。
 内容は木彫りや織物など様々だが、一番多いのは、食べ物だ。
 弟が手土産片手にやってくるのは実に嬉しい。それは姉として当然のことだろう。
 しかし今回は珍しく、福島は頭ならぬ腹を抱えていた。
「気持ち悪い……」
「え! お姉ちゃん、ついに僕の子供が!」
「違う!」
 何を根拠に嬉しそうなのかわからない北海道の頭をはたき、それでいて申し訳なさそうに伝える。
「ほっけの脂がのりすぎて……気持ち悪ぃんだ」
 見る見るうちに北海道の顔が曇る。
 嗚呼、やはりせっかくのお土産にそれは酷かったか。と彼女が持ち前の真面目さで反省を始めたとき、う、と北海道の目が潤んだ。
「な、泣ぐでねっ、姉ちゃんが悪かっ―」
「お姉ちゃん!」
 しかし慌ててばたばたさせている手ががっしと握られ、慣れた嫌な予感が背筋を駆る。
「結婚したら毎日美味しいもの食べさせてあげるからね!」
「おめんとこの食材が規格外なんだべ! 私(わだす)んとこの食材がまずいんでね! 姉弟で結婚さできるわけ……離せーーー!」
 彼女の腕力に任せた求愛拒否は、今日も続く。

彼女不在と主張

 彼女がほしい。
「彼女がほしい」
「冒頭と二回言わんでええねん」
 冷たく紅茶を啜る(ただしホットの紅茶ではある)兵庫に、大阪は泣きついた。
「何でやねん、何で俺彼女おらんねん」
「何で「何でやねん」思うねん」
「だって俺、おもろいし! 行動力あるし! 料理上手いし!」
「アホか」
「え!? 行動力まだ消極的!?」
「何でおもろいんは自信あんねん。まあ、料理は上手いけど」
 パリッとゴーフル栗味をかじり、兵庫は自分を指す。
「ええか、オシャレで美しく面白く行動力にあふれ料理も中華から洋食から和食、はてはそばめしまで作れてしまうパーフェクトなうちがな、彼氏おらへんねんで」
「はっ」
「あんたが彼女おらんのなんて当たり前や」
「そ、そうか……くそー、俺たち可哀そうやな。そしてお前どんだけナルシストやねん」
「一緒にせんといて」
 ―という光景を語り終えると、徳島は和歌山の目をしかと見た。
「こんなん言っとんのやけど、大阪様って兵庫と付き合ってないん?」
 彼女の眼は真剣そのもので、和歌山ははあ、とすだちスカッシュをすする。
「大阪兄リア充すぎっしょ。マジありえん」

東京バナナ
 鳴り響いた携帯の着メロ。
 燃えろドラゴンズー♪
「もしもし」
「あ、愛知おじさん? 埼玉だけど」
 愛知はゆっくりとブラックコーヒーをガラス張りのテーブルに置いた。電話先の埼玉はかわいらしいアニメ声で話し始める。
「何だがや?」
「うん、今から新幹線のるんだけど、そっちに持っていくお土産ね、時間がなくて東京バナナになっちゃいそうなの。良い?」
「東京バナナうみゃーていかんがね。嬉しいなも」
「そう? 良かったー、あたしが東京ちゃんの名産物持っていったら、『埼玉のくせに東京を名乗るなんて違和感』とか思われるかなって」
 笑い声に、笑い声で返す。その口調には男の渋みめいたものが効いている。
「三重も岐阜も静岡もそんなん気にせんがね」
「そうよね。ありがと」
「おみゃーは立派に東京の植民地だがー、違和感なぞにゃーてよ」
「違和感持ってええええ!」
 しかし、東京バナナを持ってくる埼玉であった。

熊本火の国親父も熱い
 よかパパ宣言大会。
 熊本県で開催された、大会である。
 内容は、育児に参加する男性、すなわちイクメン達が育児に対する熱い思いを宣言する大会だ。
「なぜ? なんで? の質問に答えられるようになるぞ!」
「抱っこすると必ず泣く娘、三か月後には「パパの抱っこじゃないと寝ない」と言わせてみせるぞ!」
 熱い。
 俺が親父だ!
 俺は育てる男だ!
 そういう熱い気持ちがビシビシ伝わってくる。
 採点は声の大きさや家族の反応で決まる。
 まず採点がある時点でびっくりなのだが、熊本男は「熊本一のパパ」という証を手にする気持ちでいっぱいのようだ。
 熊本一のパパ、それは、父親として最大の名誉!
 勝利と名誉を欲さず男か!
「これで僕らの子育ても完璧だね!」
「完璧だと思うのなら、まず婚姻を成立させたまえ」
 ここまで熱い中でも、冷静な福井。熊本と福井が結ばれる日は遠いのか? 近いのか?