初めまして、鳥取です

 お初にお目もじ致します。私(わたくし)、鳥取県こと卯月と申します。
 先日、東京こと葵様と、京都こと美琴様からご旅行のお話がありました。ホオズキお兄様と八重様と六津様も加えて、我が境港にご旅行という事でございます。
 NHKのドラマで話題になっておりますが、私などでご案内が務まりますでしょうか・・・。
 少々不安な心地になって参りましたが、私とて都道府県のはしくれです。皆様にご満足頂けるよう努めねば。
 今日は海老茶の袴に縞の着物を纏いまして、髪を三つ編みにして頭にくるりと巻きます。私、日本一人口が少ないせいか幼く見られがちなのですが、多少大人っぽくなったはずです。
 
 少し前に台風が通りましたが、今日は晴天にて赤瓦も輝いております。境港の駅でお待ち申し上げているのですが、一時間前からというのは少々早すぎたやもしれません。
 なれど・・・せっかくいらして下さったのにお待たせしては失礼ですし。
「卯月ー、ひっさしぶりー」
 ああ、いらっしゃいました。一際目立つミニスカートにくるくるにパーマをかけられた金髪、ホオズキお兄様です。その向こうにいらっしゃる紫の和服の方は八重様ですね。葵様と美琴様は相変わらずお洒落なお洋服です。あら? 六津様はいかがなさったのでしょうか?
「ご機嫌麗しゅう、皆様。遠路はるばるお越し下さりありがとうございます」
 一礼して、「六津様は・・・?」とお聞きしますと、「お土産のリンゴジュースが重くて休憩してたから置いてきた」とのご返事でした。
 ま・・まあ・・・。それは心苦しゅうございます。私もお手伝いに参りましょう。
「ええってええってー、卯月の細腕じゃ力になんないし」
 ホオズキお兄様のおっしゃる事は尤もですが・・・六津様・・・。あ、いらっしゃいました。
「驚ぇた。カートって車輪で引っ張んだな。お、卯月、久しぶりだ。少しデカくなっだか?」
 いいえ、生憎ながら身長は変わっておりません。あの・・・カートを引っ張るのでなく、ずっと持ち上げていらっしゃったのでしょうか。それは非常に重いと思いますし。その・・・カートの意味も・・・。
「いつ気付くんか思ってたけど、ようやく気付いたか」
「六津、超笑えるんだけど」
 八重様とホオズキお兄様は気付いてらしたようです。何と申しますか・・・悪友と申しますか・・・。
「実は僕らも気づいとりましたけど」
「知らせようとしたら、ご老人方が止めましたから。全く、時間の無駄です」
 美琴様と葵様も・・・! そのリンゴジュースの缶を段ボール一箱頂きましたが、とても持って帰れませんのでコンビニから発送して頂きました。
「いらんねんやったらいらんでええよ」
 八重様・・・それは大変酷い台詞かと思いますが、口には出しません。
 皆様、お食事がまだかと存じますので、名物の海鮮料理を召し上がって頂く事にしました。
 私、マグロの水揚げ量日本一ですので、海鮮丼など美味かと存じます。
「おお、魚が! 魚が綺麗や!」
 素晴らしいテンションの上がりっぷりは流石奈良県(海なし県)の八重様です。確かに八重様のお宅のお魚は少々・・・。
「写メ撮るから卯月笑ってっ」
 一斉に携帯を構えるのは流石日本人と思います。しかし、私を撮ってどうなさるのですか? ホオズキお兄様。
「それは言えん」
 ほ・・ホオズキお兄様が真顔で方言を・・・。本当に何に使われるのか不安になって参りました。
「ところで、皆様はやはりゲゲゲの鬼太郎ロードや水木しげる記念館を観光なさいますのが宜しいでしょうか?」
「そうやね!」
 それなら私でもご満足頂けそうで何よりです。
「ところで」
「何でしょう?」
 葵様が何やらポスターを取り出しました。
「卯月さん、鳥取県は人口日本最下位、市の数も日本最下位ですよね」
「はい・・・」
「そこで、鳥取県のPR策を考案してみました。群馬県と」
 何故群馬県千鳥様と考案なさったのでしょうか・・・。
「題して、『お兄ちゃん、私のところに来て下さい 日本の妹鳥取県』」
「・・・・・」
 あの、確かに私、中国地方の皆様はお兄様とお呼びしておりますが・・・。
「奥ゆかしく控えめ! 上品な口調! ささやかで小柄なスタイル! 幼い容姿! 着物に袴! 萌です! 全国のお兄さん方が放っておくはずがない!」
 幼い・・・・。
 ショックを受けておりますと、いきなりホオズキお兄様がテーブルを叩きました。
「葵! それは卯月をアイドルみたいに売り出すってこと!?」
 ホオズキお兄様、目が鋭くて大変男らしいです。どうやら止めて頂けるみたいでほっと・・・。
「いえ、萌えキャラです」
「どっちでもいいわよ!」
 ホオズキお兄様・・・。
「是非水着グラビアを入れて頂戴」
 ホオズキお兄様ーーー!?
 あ、あの、私、水着が不特定多数の皆様の目に触れるのは非常に恥ずかしいのですが・・・。
「いいですね! 後は猫耳ですね!」
 葵様の瞳に巨○の星のような炎が見えます。
「水着は無論スクール水着で!」
 助けてごしない鬼太郎様ー!
 次の瞬間、ごっという凄い音がしました。
 葵様が机に突っ伏しておられます。
 まさか・・・リモコン下駄が飛んできたんでしょうか・・・。
「美琴、叩いたらあかんよ」
「僕ちゃいます。勝手に倒れたんどす」
 八重様のおっしゃる通りかと思ったのですが、どうやら本当に違うようです。だって、美琴様の席から遠いですから。
 ってそれどころじゃありません!
「葵様! しっかりしてごしない!」
「落ち着け」
 六津様が冷静に葵様の突っ伏したままの額に手を当てました。
「・・・熱があるべ」
「あーやっぱり、何か声おかしかったからなあ」
 で・・では・・・先程のは熱での妄言ですね。救急車で運ばれる葵様には申し訳ありませんが、少しほっとしました。
 それにしても、どうしてそこまでボロボロに・・・。
 はっ 忘れてました! 今、某党の選挙の真っただ中です! 東京都たる葵様がゆっくりできるはずがありません。
「せめてものリフレッシュだったのでしょうに・・・お気の毒です」
 そう呟くと、ホオズキお兄様がぐっと親指を立てられました。
「大丈夫よ! 卯月にもできる事があるわ!」

・・・・・以上が東京都庁に私の猫耳スクール水着のポスターが貼られるようになった経緯でございます。一刻も早く、ポスターが見るに堪えないほど色あせるのを心より願っております。